これは私たちヤエン師にとって永遠のテーマであり、釣果を左右する最大の謎です。
「アタリがあってから、どれくらい待てばいいのか?」
「なぜアジはいつも頭だけボロボロになって戻ってくるのか?」
「イカはアジのどこにヤエンを掛ける隙を与えているのか?」
今回ご紹介するこの動画(0:00~0:41)は、その長年の疑問に対する「答え」そのものです。
アオリイカがアジを捕獲し、弱らせ、食べ進め、そして「硬い部分を捨てる瞬間」まで、捕食の一連の流れが克明に記録されています。
この約40秒の映像を、ヤエン釣りの視点でスローモーションのように分析し、「アオリイカの捕食手順」と「ヤエン攻略のヒント」を約4000文字で徹底的に解説していきます。
この解説を読めば、あなたのアワセのタイミング、そしてアオリイカへの理解が、間違いなく一段階深くなるはずです。
第1章:捕獲の瞬間(ヤエン師が「アタリ」として感知する時)
まず、この動画(0:00)が始まる直前、ヤエン師が「ジーッ!」というドラグ音で感知する「最初のアタリ」の瞬間が訪れます。
ステップ1:発見とロックオン アオリイカは「イカ類で最も目が良い」と言われるほど、優れた視力を持っています。
泳いできたアジを発見すると、まず2本の長い「触腕(しょくわん)」をピーンとまっすぐ前に伸ばし、臨戦態勢に入ります。
ステップ2:触腕による電光石火の捕獲 アジが射程距離に入った瞬間、アオリイカはこの2本の触腕をムチのようにしならせ、アジの体に叩きつけます。
触腕の先端にある吸盤(触腕掌部)でアジをガッチリと捕獲。
これが、ヤエン師の竿に伝わる最初のアタリ、ドラグが走り出す瞬間です。
ステップ3:8本の腕で「完全ホールド」 触腕で捕獲したアジを、間髪入れずに引き寄せ、残りの8本の「腕(うで)」でアジの体をがっちりと抱き込みます。
この動画の0:00の時点では、すでにこの「完全ホールド状態」に入っています。
第2章:急所への攻撃と麻痺(0:00~0:08)
アタリが止まり、ヤエン師が「イカがアジを抱いて止まった」と固唾(かたず)をのむ時間。この時、水中で何が起きているのでしょうか。
アオリイカ最強の武器「カラストンビ」 アオリイカの口は、腕の付け根の中心にあり、オウムのクチバシ(嘴)のような非常に硬く鋭い「顎(あご)」を持っています。
これを俗に「カラストンビ(烏鳶)」と呼びます。
狙うはただ一点「アジの延髄」 動画の0:00~0:08をよく見てください。
アオリイカはアジの頭部、特に「目の後ろから首の付け根」あたりに、集中的に噛みついています。
アオリイカは、アジのどこでもいいから適当に噛みついているわけではありません。
彼らは本能的に、獲物の「急所」を知っています。
アジの頭の後ろ、すなわち「延髄」や「脊髄」が集中する神経の中枢。
ここをカラストンビで噛み砕くことで、アジを即座に麻痺させ、抵抗できなくします。
これが、ヤエンで回収したアジの頭が、いつもグチャグチャに潰されている最大の理由です。
【ヤエン師へのヒント①】
ヤエン釣りで「アタリが止まってから、最低でも1分は待て」と言われるのは、まさにこの「アジを麻痺させる作業」をイカに確実に行わせるためです。
イカがアジを抱いて止まった直後は、まだアジが暴れている可能性があります。
ここで慌ててヤエンを送ると、イカがアジをしっかりとホールドしきれず、アジを離してしまう(放されてしまう)リスクが非常に高くなります。
イカが急所を噛み砕き、アジが完全に動かなくなるまで待つ。これがヤエン成功への第一関門です。
第3章:食事の開始「頭から食べる」理由(0:09~0:25)
アジを完全に麻痺させると、いよいよ本格的な食事(本食い)が始まります。
食べる順番は「頭から」が絶対のルール 動画の0:09~0:25を見ると、アオリイカは一貫してアジの頭部から食べ進めています。
8本の腕でアジを器用に抱え直し、カラストンビで肉を一口、また一口と「齧り取って」いきます。
動画の0:15あたりでアジの白い腹身が大きく見えますが、これはアオリイカがアジの背中側(頭頂部)から頭蓋骨ごと齧り取っている証拠です。
なぜ、アオリイカは「頭から」食べるのか?
これには複数の説がありますが、ヤエン師としては知っておくべき合理的な理由があります。
栄養価説(最も有力): アジの「脳」や「内臓」は、最も栄養価が高く、消化しやすい部分です。
これらが集中する頭部から食べるのが、最も効率的です。
安全性説: もし尾ビレ側から食べ進めると、アジのエラや背ビレ、胸ビレが喉(食道)に逆向きに突き刺さる危険性があります。
頭から食べるのは、魚のヒレの向きに逆らわない、安全な食べ方でもあるのです。
弱らせる延長説: 急所である頭部を確実に破壊し尽くすことで、万が一にもアジが息を吹き返して暴れることを防ぐ、という説もあります。
【ヤエン師へのヒント②】
イカが頭を食べ始めたこの状態こそが「本食い」であり、ヤエンを投入する絶好のチャンスです。
イカは食事に夢中になり、警戒心が薄れています。
ただし、動画をよく見ると、食事中も「エンペラ(ヒレ)」は絶えず波打たせ(0:10など)、漏斗(ろうと)で姿勢を制御し、水中に「浮いて」います。
これは、「食事に夢中だが、警戒は解いていない」証拠。いつでもジェット噴射で逃げる準備はできています。
だからこそ、ヤエンは「ゆっくりと」「静かに」送り込む必要があるのです。
第4章:衝撃の瞬間「硬い骨」を捨てる(0:26~0:35)
ここが、この動画のハイライトであり、ヤエン師が最も注目すべき瞬間です。
動画0:32~0:35をスローで見てください。
アオリイカが、それまで夢中で食べていたアジの頭部(おそらく硬い頭蓋骨やエラ周辺)を、口(カラストンビ)から離し、ポイッと器用に「捨てて」います。
捨てられたアジの頭部は、水槽の底へと沈んでいきます。
アオリイカは「美食家」である アオリイカは、アジを丸呑みするわけではありません。
カラストンビで肉だけをそぎ取り、硬い骨(特に頭蓋骨、背骨、大きなヒレの付け根など)は食べ残します。
【ヤエン師へのヒント③】 この「骨を捨てる行動」は、ヤエン師にとって非常に重要な示唆に富んでいます。
1. 「頭だけがボロボロで戻ってきた」の正体 ヤエンのアワセに失敗し、回収したアジの頭部だけがボロボロになって残っていることがあります。
これは、イカがこの動画(0:32)のように、頭部の硬い骨を食べ残し、胴体部分を食べている最中だったか、あるいは食べ終わって去っていった後だったことを示します。
2. ヤエンのアワセ、最大の難所とチャンス イカが頭を食べ終わり、この「硬い部分を捨てる」瞬間は、アジを一度抱え直す動作が入ります。
この時、一時的にアジのホールドが甘くなる可能性があります。
もしこのタイミングでヤエンが到達し、アワセてしまうと、すっぽ抜けるリスクがあります。
3. 胴体への移行=最大のチャンス到来 しかし、この「頭を捨てる」行動は、「食事が次のステージ(胴体)に移った」という明確な合図です。
アジの胴体は、頭部と違って硬い骨が少なく、柔らかい身が詰まっています。
イカはここから、さらに警戒心を解き、食事に没頭すると言われています。
したがって、「アタリからかなり時間が経過し、イカが胴体を食べ始めた」と判断できるこのタイミングこそ、ヤエンのアワセが最も決まりやすい「ゴールデンタイム」と言えます。
第5章:胴体への移行と「最後の警戒」(0:36~0:41)
頭を捨てたアオリイカは、休む間もなく、アジの胴体部分を抱え直します(0:36)。
柔らかい胴体の肉を、再びカラストンビで齧り取っていきます。
ここでも注目すべきは、やはりその「姿勢」です。
0:36~0:41の間も、アオリイカは水槽の底に降りることはありません。
エンペラを巧みに動かし、常に水中に浮いています。
これは、ヤエン師に「俺はまだお前を警戒しているぞ」と告げているかのようです。 ヤエンの金属音、ラインが海藻に擦れる音、船のエンジン音…。
わずかな違和感でも感知すれば、彼らはこのホバリング状態から、即座に漏斗を噴射してアジを放し、逃走します。
【ヤエン師へのヒント④】
イカが胴体を食べている「最後のアワセ時」であっても、油断は禁物です。
ヤエンを完全に到達させ、イカが確実にヤエンの可動部に触れた(あるいはラインを引いてイカがヤエン側に動いた)という確信を得るまで、決してアワセを入れてはいけません。
「イカの走りが止まったら、アジを麻痺させるまで待つ」
「食べ始めたら、胴体に移るまでじっくり待つ」
「アワセは、ヤエンが到達した確信を得てから」
ヤエン釣りとは、アオリイカのこの合理的な「捕食ルーティン」をどれだけ深く理解し、その隙を見極められるかという、非常に知的で奥深い「読み」の釣りなのです。
【まとめ】
今回の貴重な映像から、アオリイカの捕食手順は、
【捕獲】 触腕で捕らえ、8本の腕でホールドする。
【麻痺】 急所(首の後ろ)をカラストンビで噛み砕き、アジを弱らせる。
【実食①】 栄養価の高い「頭部」から齧り取っていく。
【廃棄】 硬い頭蓋骨などを器用に「捨てる」。
【実食②】 柔らかい「胴体」部分を食べ進める。
という、非常に合理的かつ計算された手順で行われていることが分かりました。
私たちヤエン師は、このイカの「食事の時間」にお邪魔しているという意識を持ち、彼らの行動を先読みして、最高の一杯を仕留めたいものですね。
この動画と解説が、皆さんの「次の一杯」に繋がることを心から願っています。
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