しかし手軽さの半面、そこには危険も潜んでいて事故件数は過去最多となっています。
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<福岡県内の海岸>
午前5時、コロナ禍でも密を避けて楽しめるレジャーとして人気の魚釣り。この日も朝早くから大勢の人が訪れていました。
釣り客「イワシを付けてでかい魚を釣りたいなと思って」
記者「何匹くらい釣れたんですか?」
釣り客「11匹くらい」
そんな中、何かを膨らませる男性の姿が…。
◆男性
「これで出るの、きょう初めてなんですけど」
膨らましていたのはミニボート。長さ3メートル未満、エンジン2馬力以下(出力:1.5キロワット未満)のボートを指します。免許は不要でインターネットで簡単に購入できることから、釣り人に人気があります。
◆男性
「小さいと危ないです。長さが短いとふらふらしちゃうんで」
初めてミニボートで釣りをするというこの男性。満を持して沖に出るも…。
なかなかエンジンがかかりません。
◆エンジン音「ブーン」
ようやく発進することができました。
岸壁釣りからの手軽なステップアップとして人気の「ミニボート釣り」。
しかし、そこには思わぬ危険が潜んでいます。
ミニボートから投げ出され海上保安庁に救助される男性。釣りから返る途中に波が船内に打ち付け、転覆してしまったといいます。男性にケガはありませんでした。
九州北部と山口県の一部を管轄する第七管区海上保安本部によりますと、管内で起きたミニボートの海難事故は年々増加傾向にあり、コロナ禍でマリンレジャーが人気となった2021年は過去最多の24件でした。
一体なぜミニボートの事故が増えているんでしょうか。
◆第七管区海上保安本部 古場芳樹 課長
「ほとんどが釣りのために購入されていて、船に対してはあまり知識がない方が非常に多い。その辺が絡んで事故が増えているのではないかと思います。船の検査もなく、何かしたら違反になるというものが無い。対策をどうにかできないか、考えているところです」
規制がない中で増え続ける事故をどうしたら減らすことができるのか。
<貸しボート店>
この日、海上保安庁の職員が訪れたのは、福津市にあるミニボートのレンタルショップ。中で行われていたのは…
◆店主と海上保安庁のやりとり
「いつもお世話になります。指導ありがとうございます。できるだけお世話にならないようにしないといけないんですが…」
ポスターなどを手渡しての注意喚起です。
こちらの店は主にミニボートを釣り人に貸し出す人気店で、事故が増加している状況を踏まえ、店側が客に対してどのような説明を行っているのかを確認しに来たのです。海上保安庁の職員に促され、店主の穴田さんは船体を使って丁寧に説明します。
◆店主と海上保安庁のやりとり
海保「ああ、これですね」
店主「時々オールのクラッチに引っかかる方がいますけど」
海保「グラグラしてますもんね」
一通り説明が終わると…実際に海にボートを浮かべてみます。すると…
◆海上保安庁
「乗ってみる?試しに」
記者も実際に乗せてもらうことに。しかし…
◆記者
「こわいこわいこわい、すごい揺れますね、これ。うううう、うおおおお」
◆店主
「この波の時は、うちは中止です」
◆記者
「中止しましょう」
陸から見るとそれほど荒れているようには見えない「海」ですが、知識のない記者にその怖さをまざまざと見せつけました。
◆第七管区海上保安本部 古場芳樹 課長
「船の法律・海の法律を熟知している人と、海の法律をよく知らない、免許も持っていない人が、同じ海というフィールドに船を一緒に走らせる、ということになりますので、個人的には心配ではありますが、うちとしては『駄目だ』と言えないのが現状です。法律上は問題ありませんので」
法律による規制がない中で増加するミニボートの事故。
海上保安庁は、こうした事故をできる限り防ぎたいものの、「注意喚起」を強化するしかないとしています。
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